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体力消耗という意味で。

なんだかんだで今年もあと少しですねぇ。先日2月までの原稿ペースを配分していたら期間の短さに驚きました。まあ、この時期まで残しておいた自分が悪いんですけどorz


はらりさま>
こちらこそわざわざお返事有難うございました!
原稿がんばりますね、うふふ~。


昨日、支部にあげた英米をたたんでおきます。
カップリング要素がきわめて低く、たんなるブラコン二人なのですがね。



+ + + + + + + + + +



「怖くて眠れないんだってばぁー!!」

半泣き状態で叫んだ声が、薄暗く静かな寝室に響き渡った。それでもアーサーは起きるどころかそんな気配すらみせない。アルフレッドは藁にもすがる思いでもう一度アーサーの肩を揺すった。
「アーサー起きてくれよ! 頼むんだぞ! 俺このままじゃほんとに眠れないんだって! ねぇアーサーってば……っ!」
ユサユサと肩というよりも全身を揺さぶられているアーサーは「うぅ、ん……」などと寝息混じりの声を上げ、ごろんとアルフレッドの方へ寝返りを打った。けれどもその目は一向に閉じられたままで、アルフレッドはがっくりと肩を落とした。
アルフレッドのやり場のない憤りが段々と悲しみに変わっていく。恐怖と相俟って、青い瞳にはじわじわと涙が浮かび上がっていった。
「うう、アーサーのばかぁ……」
アーサーの隣にぺたんと膝をつき恨めしげに一瞥すると、アーサーの瞼が不意に上がった。
「――ん、……アル?」
「アーサー! 起きたのかい!?」
薄く瞬きを繰り返す緑色の瞳がじぃっとアルフレッドを見つめる。丁度良いからそのまま文句の一つでも言ってやろうとしたアルフレッドの後頭部に、アーサー の腕が伸びてきた。ぐいっと引き寄せられたアルフレッドの頭はアーサーの二の腕に、横たわった体はアーサーの隣で暖かな布団を掛けられた。
「ちょっと、君! なにしてるんだい?!」
まるで添い寝のような図にアルフレッドは抗議の声を上げた。耳元で怒鳴られ、アーサーは身を捩る。
「んん、うるせぇぞアル」
「……なんだよ、寝ぼけているのかい?」
アーサーのまたしっかりと閉じられている瞼に気付き、アルフレッドはため息を吐いた。
「アル、泣くなって。こうしていれば怖くなんてないだろ」
なんのことだい、とアルフレッドが口を挟もうとした矢先、不意に髪の毛を撫でられた。
「今夜はこうしててやるから、もう泣くな。大きくなって、俺をまもってくれるんだろう? アル」
ゆっくりと髪の毛を撫でていた指先が止み、額にアーサーの唇が押し当てられる。宥めるようなやさしいキス、アルフレッドには覚えがあった。
昔、夜怖くて眠れなかったとき、決まってアーサーは震えるアルフレッドを抱き寄せ、涙が止まるようにとおまじないじみたキスをくれた。今となっては信じがたいが、あの頃はそれで泣き止み、安らかな気持ちで眠りにつけたのだ。
(変わらないなぁ、君は。いつまでもbabyの影を追ってさ)
がっちりとロックされている腕に観念し、アルフレッドは体の力を抜いてアーサーの隣で丸くなった。すやすやと立つアーサーの寝息、一定した鼓動、暖かな体温、そして匂い。なにもかもがあの頃のままで、アルフレッドの心が落ち着いていく。
こんなもので眠くなるなんて、俺も変わっていないのだろうか。アルフレッドは心の中で「くたばれ」と呟き、すぅっと夢の中へ落ちていった。

* * *

目を覚ますとまだ寝室の中は薄暗いままだった。
「ん、今何時……うおっ! あ、アル?!」
ベッドサイドの時計を見ようと体を起こそうとしたアーサーは、隣で丸まっているアルフレッドの姿を見て驚いた。おまけに腕が下敷きになっていてひどく痺れている。
「なんだこの状況……なんでこいつは俺の腕を枕にしてんだ?」
さっきから抜こうとしているのだが重い頭はどくことを知らないのか、さっぱり動かないでいた。はぁ、とため息を吐き出し、アーサーは諦めて再び横たわった。アルフレッドの寝顔が近い。
「こうして見るとまだまだガキだな。図体ばっかりでかくなりやがって。ほんと、黙ってりゃ可愛いのにな」
頬にかかるアルフレッドの前髪をさらっと指先で梳いた。まだまだあどけない素顔が晒され、アーサーはふっと微笑む。
「う……ん」
「っと、いけね」
眉根を寄せ、アルフレッドの意識が戻ろうとする寸前で髪の毛から素早く手を離す。この状況で起きられたら何を言われるかたまったものではない。けれどその願い空しく、アルフレッドの唇が動いた。
「アーサー」
「ん、起きたのか?」
せめてこの隙に腕だけでも抜きたい。アーサーは動かない腕を懸命に引き抜こうと試みた。が、やはり無駄に終わる。起きたのならいっそのこと乱暴にしてもいいのではないか、そうアーサーが思った矢先、アルフレッドは「くたば……れ」と二の句を告げまた寝息を立て始めた。
ほっとしたような、そうでもないような、アーサーはアルフレッドの顔をじとりと睨んだ。 
「なんだよ、寝てても可愛くないやつだな。前言撤回だバカ」


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蒼井
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女性
自己紹介:
198X年5月9日(ヨーロッパ・デー)生まれ。
いつも何気ない顔で妄想してます。
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おお振り→花田、浜泉、阿三、田三
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