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雑記、妄想メモ、拍手レス
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三年間故障しない。まだ何も考えていなかった時に交わした約束は、まだ有効なのだろうか。
阿部が怪我をしてから少しずつ心が通い合って、対等と思えるぐらいの関係になってきた今、三橋の中で阿部の存在はとても大切でかけがえのないものになっていた。会えない日が、この上なく辛いと思えるほどに。
(頭、痛い。また熱 上がった、かな)
汗ばむ額を掌で押さえ、熱に浮かされながらチラリと時計を見る。
――午後六時。
練習が終わるまであと三時間。三橋の誕生日が終わるまで、あと六時間。
誕生日当日に発熱で休んでいる残念な子に、せめてもとお祝いのメッセージを皆送ってくれた。田島なんかは昨夜日付が変わった直後にメールを送ってくれ、寝入り端の三橋を驚かせた。
(みんな、やさしい。オレ、大事にされて るんだ)
想いのこもったメールが詰まった携帯を眺め、三橋はふふ、と笑みを零す。けれどすぐに、顔色を曇らせた。
(だって、一番欲しい人からの メールは、入ってない……から)
じわり、と三橋の目尻に涙が浮かぶ。そう、待てども待てども阿部からの音沙汰はなかった。忙しいのだろう、とか、夜になったら、とか、どうにか理由を付けて自分を慰めていたけれど、それももう限界だった。
故障しないなんて言っておきながら、熱を出した三橋を怒っているのかもしれない。そう思うと、三橋の頬を涙が伝った。
涙で濡れ、視界がぼんやりと役目を成さない。瞬きを繰り返しているうちに段々と意識が遠のき、三橋はゆっくりと眠りに落ちていった。





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続きは三橋の誕生日当日にでも。

昨日はにじゅううん回目の誕生日でしたー。
いろんな方からお祝いのメッセージをいただいちゃいまして! いやー、幸せな一日でした!
なんと某方からSSまで頂戴してしまいました……! 後日飾らせてもらいます^^
有難うございました!!


続きからコメントレスです。
遅くなってすみません!


拍手[4回]

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 二月十四日の練習上がり、水谷が誰が何個もらったかと話を振ってきた事から、話題はバレンタインへと移っていった。
 生憎、今年のバレンタインデーは日曜日。しかし部活で登校している生徒の数も多く、それにほとんどの生徒が前日をメインとした事もあり、日曜日というのはたいした支障にはならなかったようだ。現に野球部全員がそこそこの数のチョコを貰っていたのだが。
 それにも関わらず仏頂面の人物がここに一人いた。
「バレンタインなんてくだらねぇ。菓子会社の戦略にノセられてんのがわかんねぇのかよ」
「えー、でもさぁ。好きなコから貰えたら嬉しくない?」
 トゲトゲしく言い放つ阿部に、水谷は、さっき篠岡と監督から共同で貰ったばかりのチョコの箱を口元に当て、ニヘラと目元を緩ませる。水谷の締まりのない顔に、阿部は思いっきり眉間に皺を寄せ、更にトゲを放った。
「……だからお前は、いつまでたってもフライがとれねンだよ。クソレフトめが」
「ちょ、それ関係ないじゃん! つーかヒドイ!」
 ワァワァと、耳を塞ぐ阿部に向かって喚く水谷を見て、花井は人知れず溜息を漏らす。返り討ちに合うのが解っていても猶向かっていく余りにも無謀な水谷を、別の意味で尊敬してしまった。
「なーなー、花井も貰ったら嬉しい?」
 そこへ不意打ちで田島から離し掛けられ、一瞬何の事か解らず、理解するまでに数秒かかった。どうやら水谷の言っていた、好きなコから貰ったら嬉しいか、という問いを花井に聞いているらしい。
「へ? あ、まぁ、そら嬉しくないっつったら嘘になるよな」
 普通に考えて、好きなコからチョコを貰って嬉しくない人はいないと思う。余程の料理下手とかではない限り。
 花井も同様、素直に思っているままを伝えた。
「そっか、嬉しいか。なら、帰りに買ってこーな!」
 ぶほっ、と花井が咽たのが先か、田島が花井の腕に絡みついたのが先か。懸命に見て見ぬフリをしている栄口と沖の間から、決して空気を読む事のない男がにょきっと首を出した。
「へーへー、ラブラブなこって」
 薄ら笑いを浮かべ、嫌味とも取れる発言をする阿部。けれどそんなものが田島に効くわけもなく、むしろ逆に辱めを受ける破目となった。
「阿部。三橋から貰えねーからって拗ねんなよ」
「だっ、拗ねてねぇよ……!!」
 学校という敷地内では、大半三橋と行動を共にしている田島が言うのだから本当なのだろう。阿部は余程悔しいのか、ワナワナと震える拳を田島のこめかみに向けて解き放とうとしていた。
「あ、阿部くん!」
 間一髪、阿部の拳から田島を救ったのは三橋だった。
「三橋……」
「あ、の。は、恥ずかしくて 遅くなっちゃった、んだけど」
 コレ……、と三橋がおずおず差し出してきたのは小さな箱。三橋の手のひらで震える、薄いブルーの包装紙と赤のリボンで包まれたそれは、阿部が心待ちにしていたものだった。
 恐る恐る三橋の手のひらから持ち上げた小箱を、阿部は壊れ物を扱うかのようにそっと、自分の手のひらに包み込んだ。期待が胸いっぱいに広がり、幸福感で満たされる。
「これ……っ」
「チョコ、だよ。よかったら、もらってくだ さい。阿部 くん……」
 三橋は顔を真っ赤にして、たどたどしい言葉の最後には俯いてしまった。そして自らの仕出かした行動に、恥ずかしさの余りその場に小さくしゃがみ込んでしまう。
 狭い狭い部室の中、あっという間に二人だけの世界を作ってしまったバッテリーに、他の部員はただ息を飲んで見守る事しかできずにいた。中には懸命に我慢していた者もいたが。
「バレンタイン最高っ!!!」
「うっわ、殴りてぇ」
 最高潮に有頂天となった阿部の嬉々とした叫びに、とうとう泉の堪忍袋の緒が切れたのだった。





バレンタインデーなんてことすっかり忘れてました。西浦祭で知り合いに配ったのでもう達成! みたいな。
去年のバレンタインなんて何か書いたっけ……覚えてないってのがまたヒドイ。

今年は早い段階でネタが浮かんでいた阿三にしました。若干花田とキモベが入ってますが 笑
日にちも少し過ぎてしまいましたが、少しでも楽しんでいただけたら嬉しいです。


今日もご訪問&拍手、有難うございました!!

拍手[8回]


 朝から降り続いた雨も夜になるとようやく落ち着いてきた。
 コンビニ前で皆と別れ、阿部とビニル傘を並べて歩いていた三橋がふと小雨になった空に気付く。
「あ。雨 止んできた、ね」
 三橋に言われ、阿部は掌を空中に差し出し雨の量を確認した。
「おー、もう傘いらねっか」
 せっかちな阿部は、まだ小雨が降っていようが気にせずにさっさと傘を畳んだ。護りのなくなった阿部の頭には細かな雨が降り落ち、暗闇に溶けるような黒髪から滴が垂れた。
「う、お。でもまだ 濡れちゃう よ……」
 そんな阿部を見兼ね、三橋が自分の傘の半分を阿部に向けて揺らすと二人の距離がぐっと近くなった。肩がぶつかり、ゴメンと謝る間もなく目の前に現れた阿部の顔があまりにも自然すぎて、突然のキスにも三橋はそっと目を閉じた。
 冷たい唇が離れ僅かに見えた阿部の顔は、照れたような我に返ったような、そんな表情をしていた。


>お返しに大好き、って言いたいのに口が上手く開かないよ。



久しぶりの阿三でした。むず痒くなるのはあたしだけですか?笑
平日はどうにも時間が作れなくて創作が出来ず、休みの日も何だかんだで家にいる事が少なく……いやはや、どうしたものか。
もし待っていらっしゃる天使のような方がいましたら本当にすみません><がんばります!

拍手[1回]


 蚊の泣くようなか細い声が聞こえたのは気のせいではなかった。
「花井、くん」
 教室に入ろうとした花井を呼び止めていたのは三橋で、振り向いたら何故か三橋の方が驚きの表情を浮かべていた。何用かと思い、花井は教室に一歩踏み入れていた足を戻し、三橋に正面を向けた。
「どうした?」
「あ、え と。あ、ああ……あ」
 もはや、しどろもどろというレベルの域を越えている。
 生憎、どこかの誰かさんみたく三橋翻訳機を持ち合わせていない花井は、困惑しながらもなんとか糸口を見つけようと三橋の顔を凝視した。すると廊下の窓越しにチラリと教室内へと視線を運ぶ三橋に気付く。その先には阿部がいた。
「呼んできてやろうか?」
「え?」
 花井が問うと三橋がパチクリと瞬く。
「阿部。何か用あんじゃねぇの?」
「う、おっ。な、よ わかっ」
 驚きと尊敬の眼差しが花井を突き刺す。これは何となく分かった。
「待ってな」
 三橋をその場に残し、教室に入った花井はそのままノートに何かを綴っていた男の前に立ちその名を呼ぶ。ぶっきらぼうに答えた阿部が席を立つと、自席に戻った花井は次の授業で必要な教科書を机の中から引っ張り出した。
 ふと、教室の隅にある時計を見ると阿部と三橋が視界に入った。そこには蒸気する頬を隠そうともせず、ふにゃんとした笑顔を見せる三橋がいて。奇しくもアテられてしまった花井は、悔し紛れに携帯のタ行を開いた。

拍手[0回]


 授業と授業の間の休み時間、決まって窓際に位置する浜田の机に集まる田島と三橋と泉の三人。野球の話、雑誌の話が主な会話の中で、今日は珍しく三橋が話の中心となっていた。話の内容は阿部の事。
 阿部との会話が途切れる事なく二分できただの、阿部が笑ってくれただの、聞いているこっちが妙に気恥ずかしくなってしまうものばかりで。けれど頬を赤らめながら懸命に話す三橋に、誰一人として横槍は入れなかった。
 そこへ9組前の廊下を偶然通りかかった阿部率いる7組トリオに、すかさず田島が声をかける。
「お、阿部ー!」
「あ?」
 田島の呼びかけに気付いた阿部は2、3歩戻り、廊下越しに9組内を覗き込んだ。
「三橋が好きだってよ!」
「た、たじまくん―ッ!!」
 爽やかに且つ大声で、とんでもない事を口走る田島に、三橋は大慌てで椅子から立ち上がりどうにかして田島を止めようとしたが、それは奇妙な踊りにしか見えなかった。
 呆然と立ち尽くしながらその光景を見ている阿部に、これまた軽く水谷が返事を返す。
「阿部も好きだってさー!」
 間の抜けた声で口にされた言葉に、阿部は我に返った。
「なぁ!?水谷テメ!」
 阿部が水谷にゲンコツに入れるが否や、チラリと視界に入った三橋によって阿部の動きは止められた。阿部の目に映る三橋は真っ赤な顔をして、どことなく嬉しさを堪えきれないといった表情をしていたから。
 それにあてられてしまった阿部は瞬間湯沸かし器の如く、首まで真っ赤になってしまった。
「あーはいはい、ごちそうさま」
 湯気が立ちそうなその場の空気を壊すべく、パンパンと二回手を叩きお辞儀をする泉。そこで再び我に返った阿部は、隣にいた花井の教科書をそっと取り上げ、その角を遠慮なく水谷の頭に振り下ろした。

拍手[7回]

プロフィール
HN:
蒼井
性別:
女性
自己紹介:
198X年5月9日(ヨーロッパ・デー)生まれ。
いつも何気ない顔で妄想してます。
☆今現在の萌
おお振り→花田、浜泉、阿三、田三
APH→仏英、英米、英日、米日
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