「うンめぇー!」
焼き上がったばかりの中落ちカルビをハフハフと頬張り、肉の味が口内に広がるとすぐに白米をかっ込んだ。一皿目の肉で中盛りの白米一杯を平らげてしまった泉は、おかわり! と遠慮なく浜田に空になった茶碗を差し出してみせた。
「すいませーん、ご飯の中ひとつ追加で。いやぁ、しかし良い食いっぷりだな」
「悪ィけどここぞとばかりに食わせてもらう。……つーか、今更だけど何でいきなり焼肉?」
「んー? だって最近泉、ロクなもん食ってねーだろ」
浜田にそう言われ、ハタと思い返してみる。考えてみればちゃんとした温かなご飯なんていつ以来だろう、ここしばらく取れていなかった。部活の目の回る様な忙しさに感けて食事は二の次、腹が満たされればそれでよかったから何とも思っていなかったけれど。
浜田に言わせれば、体が資本なのだから栄養もそれなりに頭に入れておけ、という事のようで。
「だからお前の休みの日を狙ってたんだよ」
「あー……それで。いやでも、寝溜めして夕方起きたら、携帯がお前からの着信で埋まっててオレは本気でビビったぞ」
チカチカとお知らせライトが点滅する携帯を寝ぼけ眼で開いたら、まず着信50件の文字に血の気が引いて一瞬で目が覚めた。そしてその50件全てが浜田だった事に関してはあえて何もいうまい。
「だって泉、全然起きねンんだもん」
それなのに普通に肉を食べながらそう言われては、もう突っ込む気にもなれない。
「しゃーねーじゃん。疲れきって死んでたんだっての」
それにバイブ設定だったし、と加えて、泉は少し焦げたホルモンを網から全て取ると白米の上に乗せた。口に運ぶ瞬間に、視界に入った浜田からはさっきまでの笑顔がなくなっていて。
ホルモン全部は取りすぎたか、と反省しようとした泉を見ようとはせず浜田は口を開いた。けれど、新しく網に乗せた肉の焼ける音で泉の耳には届かなかったようだった。
「なに? 聞こえなかった」
「……いや。あ、ほら、コレもう焼けてる。肉も追加すっか?」
もう一度は言いたくないのか、あたふたとメニューを開いて見せてくる浜田。そこをあえて突いたりはせずに泉はメニューに視線を落とした。そして欲望を忠実に訴える。
「オレ国産カルビ特上食いたい」
「……ほんとに容赦ないね」
そう言いつつも甘やかしてくれる浜田だと知っているから。泉は二、と浜田に笑いかけてから、冷めかけたホルモンを口に運んだ。
>「もう少し、オレを頼っていいんだからな」
聞こえていなかったなんて嘘。嬉しすぎてどう返していいか解らなかっただけなんだ。
こんばんは、睡魔と格闘中です。
西浦祭、お疲れ様でした! ユキさんの売り子として参加しましたが、とても楽しかったです☆
その日の夜はユキさんと焼肉に行ったのですが、そこでした妄想を今日は形にしました。オレはやった、よ!
いつもご訪問と拍手有難うございます!
感謝してもたりません、愛っ!!