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雑記、妄想メモ、拍手レス
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 野球以外でも何かと外へ出ている田島にとって、この時期の教室はちょっとした地獄と化していた。寒い寒いと縮こまる女子達が、また一度、また一度と暖房の設定温度を上げていく。付け始めた朝のHR前と比べ、三時限目終了時には合計四度も上げられていた。
「田島く ん?」
「うーー……」
 授業が終わっても机に突っ伏したままぐったりとしている田島に、三橋は心配な面持ちで近付く。いつもならば笑顔で返事をしてくれる田島が、この時ばかりは顔も上げずに、苦しそうな声を出すだけで終わってしまった。
 大丈夫?、と言いたい言葉が喉から出ずに涙目でオロオロし始めた三橋を救ったのは、七組からの来訪者――花井だった。
「田島ぁ、次使うから辞書返せ……って、どうした?」
「田島くん、げ んきない。く、苦し そうっ」
「何か悪いモンでも食ったか? どれ、……田島?」
 涙を浮かべる三橋の頭をポンと叩くと、花井は突っ伏す田島の前にしゃがみ込んだ。そっと表情を伺う。
 顔色、は悪くない。三橋の言う苦しそうという感じもしてはいなかった。
「……オレ、エアコンの熱いのダメなんだよね。顔が熱くなって頭がぼーっとなって、だから今すっげー重いっつーか」
「あー、分かる分かる。うちのクラスも結構キツイぜ?」
「うえ、まじかー」
「でもまあ、そういう事なら」
 冷した方が気分良くなるんじゃねぇの?、と言い、花井は自分の掌を田島の上を向いている方の頬にピタリと押し当て、包み込んだ。掌から冷たい花井の体温が伝わり、田島の重い瞼が一気に開いた。
「――っ!?」
「え、ちょ、お前マジで熱くね? 大丈夫かよ」
 暖房で侵されたにしては熱い田島の体温に花井は驚いた。微熱でもあるんじゃないか、とにかくよく見ようと花井は田島の顔をぐいと上げ、露になったその頬の赤さにまた驚く。
「顔真っ赤じゃん! お前これ熱あんだよ、ダルイわけだって」
「は!? いや、これはちがっ……!」
「違くねーって。ほら、保健室行くぞ!」
「いや、だから違うんだってば……! 花井ぃ!」
 花井の力強い腕にズルズルと引っ張られ、教室から引きずられるようにして出ていってしまった田島。二人の後ろ姿を見送りながらも、あっという間の出来事に三橋はポカン、とその場に立ち尽くしていた。
「うわー、なんだよアイツらまじウゼー」
 部外者です、と言わんばかりに傍観を決め込んでいた泉は、それでも耐え切れなくなったのか、雑誌から視線を外さないままで悪態を吐いた。その隣にいた浜田は半笑い状態で、矛先がこちらに向かないうちにそっと泉から視線をあさっての方に逸らした。


>暖房よりも花井の方が数倍威力があるんだって!

 

はい、花井に触られて沸騰する田島でした。
これは田島片思いか両片思いの方がいいですね! 田島を意識してない花井は最強だと思ってます!

明日は仕事終わってから会社の忘年会です。その後二次会すっ飛ばしてワン/ピ/ー/スの映画行ってきます! 一人レイトショーです。考えてみれば一人で映画は初ですね。これがまた意外と楽しみだったりしてます^^

拍手[12回]

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 肩が凝って死にそうだ、と花井が洩らしたのは丁度田島が訪れた昼休みだった。
「まじかよ! 死なれちゃ困っから揉んでやる」
「うっそまじで。じゃあすっげ硬いからおもっきしやって」
 突如現れた救世主に花井は机から椅子を引き、万全の体勢を整えた。
「んじゃ遠慮なく」
 ペロリと唇を舌で軽く舐め、袖を捲り上げた田島の腕に力が入る。そしてそのまま花井の肩に下ろした。
「ぅい、てっ……え!」
「あ、強すぎ?」
「……いや、大丈夫。続けてくれ」
「うっす」
 意外なほど上手い田島のおかげですぐに肩は解れ、花井は礼を言って田島を解放した。
「まじでサンキュー。お礼になんかおごろっか?」
「ん? んー」
「何がいい?」
「えーと、じゃあ」
 コレでいい、と言った田島は後ろから花井の耳朶にちゅっと音を立てて唇を落とした。余りにも突然すぎる不意打ちに、顔を真っ赤に染めた花井が怒るのは言うまでもない。


>だってうまそうに見えたんだもん!




肩凝りがひどいです……。凝ってるっていうよりもはや痛くて辛い! 何かいい肩凝り解消法ってないですかね(´;ω;`)ブワ

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 夜も更け、ペンを持つ手が強張るほど部屋の温度がグッと下がってきた。思うように動かない冷えた指先に、花井は諦めてノートの上にペンを転がしてから後ろに思い切り伸びをした。 花井の体重に軋む椅子の音に混じって携帯のバイブレーションが着信を知らせる。ディスプレイに表示されているのは田島の名前。有り得ないその名前に花井は驚き、通話ボタンを押しながら見た時計の針は午前0時を回ろうとしていた。
「お前まだ起きてんのかよ! 早く寝るっつったじゃんか!」
 花井の開口一番の怒鳴り声にあちら側の田島はたじろぎもしない様子で軽い返事を一つ。そんな田島に怒るだけ無駄だと瞬時に判断した花井は、深いタメ息を吐いてから声色を戻し話題を変えた。
「つーか、明日何時だよ」
「あーと、9時ぐらいだったような」
 まるで他人事のような口調で話す田島に無関係な花井の方が気が気でない。
「おいおい大丈夫か、明日から即合流なんだろ? 荷造りはもう済んでんのか?」
「うん、大した量じゃねぇし」
「あー、……ならいっけど」
 用件のない突然の電話と、珍しく言葉少ない田島に花井も合わせたように口を噤んでしまう。眠れないのかとか、悩みでもあるのかとか、オレに言いたい事でもあるのかとか、聞きたい事は思い浮かぶのに音にはならない。
 まさか田島が不安を募らせているとも思えず、むしろ声を聞いて消えていた筈の花井の不安の方が浮き上がってきてしまった。
「オレ明日予備校あっから見送りできねー、って……言ったよな」
「聞いた。つか大げさなんだよ花井は。たかだか隣の県じゃん」
「あのなぁ、東京だろ。遠いよ」
「そーかぁ?」
「遠いよ。少なくとも、今のオレには」
 椅子から立ち上がり、カーテンを開けると窓には霜がかかっていて何も見えない。けれど花井には自分の情けない顔が映っているように見えた。弱音を吐いた事により不安と同時に焦りが顔を出す。
 野球で一足先に入学が決まった田島の大学は、花井の学力を持ってしても簡単には入れる所ではなかった。花井も田島も同じ大学に行こうと約束した事もなければそんな気すらなかった。けれどいざ片方が決まってしまい、離れていく現実を目の当たりにすれば、心の奥底で眠っていた感情は容易に目覚めてしまう。
 結果、次の日には花井の第一志望校が変わっていた。
「花井。花井なら大丈夫だって」
 入試を目前に控えた現段階でも合格できるかどうかは五分五分の状況。大丈夫かと問われれば否と即答できるのに、田島に言われるとついそんな気になってしまうから恐ろしい。
「先行って待ってる。っても、卒業式前には一旦戻っけど」
「すぐに行くよ」
 カラカラと笑う田島にほだされながらも、花井は田島に支えてもらった強い意思を腹の中に抱え直した。そして照れ臭いから声には出さず、「ありがとう」「好きだよ」とマイクに心を込めて呟いた。
「春までにもっとすごくなって待ってっから」
「……それはヤメテ」
 本当にやりかねない田島の笑い声を電波越しに聞きながら、冷えきった窓に手をかける花井の心中は不思議と穏やかだった。霜がかった窓を開ければ何時から降っていたのか白い雪がハラハラと舞い落ち、花井の吐いた息が白く消えていった。



>会えないけど明日は笑って送れそうだよ。



大学関係の事は全くの無知なので目を瞑ってやって下さい……!
自分の引っ越しにちなんでそんな話を書こうと思って書き出したのですが、出来上がってみればどうしたのよこのしんみりした雰囲気は、という感じで。
ただこんな感じも好きです。



リアルでは娘のインフルも完治し、明日から仕事復帰です。やべぇ、体動くかな(*_*)

なによりいつもご訪問下さり有難うございます! 皆様大好き(*´д`)

拍手[0回]

 昼休みが始まってすぐ、田島の携帯に呼び出しのメールが届いた。こんな滅多に有り得ない出来事に目を丸くしながらも、田島は広げた弁当もそのままにすぐに席を立った。
 後ろから呼び止める声は泉と浜田。先に食っててと口早に言うと、田島は屋上までの階段を二段飛ばしで一気に駆け上がっていった。
「花井!」
「田島……」
 昼休みだというのに珍しく誰もいない屋上。一人フェンスに寄り掛かっていた花井は、田島が現れると一歩前へ出た。その足取りは重く、よく見ると顔色が悪く覇気がない。
「なんかあった?」
 心配する田島に花井は沈黙を返す。なかなか口を開かない花井に焦れる事なく、田島も黙って花井を見ていた。
 昼休みが始まって5分。花井も田島も腹の虫が怒り出す直前、観念した花井がようやく口を開いた。
「あ、あのさ」
「うん」
「こんな事頼むなんて、って思うかもしんねーけど」
「……」
 どうしても言い辛そうな表情の花井を見つめる田島の脈拍数が速度を上げた。
 誰もいない屋上、恋人と二人きり、そして何か言いたげな花井が目の前にいて。無意識に田島の胸は期待で膨らんでしまっていた。
「田島、頼む!」
「花井っ」
 一人で盛り上がって花井の胸に抱き付かんばかりの田島の目を見据えて花井は言った。
「金、貸してくんね?」
 さっきまでの勢いはどこへやら、一瞬にして田島の目は点へと化した。
「いや、昼飯購買で買おうと思ってたんだけど家に財布忘れてきてさぁ。練習あっから抜くわけにはいかねぇし、かといって誰にも言えなくて」
 無駄にプライド高いですもんねとは思っても声が出ない田島を他所に、花井は頭を掻く。
「結局、こんな事頼めんのお前ぐらいしかいねーから。わりーけど頼むよ田島……って、何むくれてんの?」
「別に!」
 変に期待した自分がアホらしくて恥ずかしくてついでに腹も減って、地団駄を踏みたい衝動に駆られた田島だった。


>花井に期待したオレがバカだった!

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 秋の空は陽が沈むのも早く、夜になればすっかり寒くなっていた。暖かな家から出ればなおの事。
 花井のマンションから出た田島は開口一番、寒ィと声を上げ、半袖から伸びた素肌を掌で擦りだす。次いで出てきた花井に有無も言わさずマフラーを巻かれ、ヒンヤリとした空気に混じって擽る花井の匂いに田島は満面の笑みを浮かべ口元を埋めた。
「あ、帰ったらまたお礼言っといてな」
 忘れないうちにと顔を上げ、田島は花井の妹達への礼を伝えてくれるよう頼む。サンドウィッチに唐揚げ、そしてケーキ。花井の妹達が田島の為に作ってくれた料理はどれも美味しくて、田島の腹と心を満たしてくれた。
「おー、了解。つーか何か悪かったなぁ、アイツらが」
「何で? 全然嬉しいって!」
 田島になついている妹達が田島の誕生日を知ると祝いたいと言い出した為に、当日にわざわざ主役自ら出向いてもらう事となってしまった。練習で疲れているところに妹達の相手をさせてしまい、花井は少し申し訳なく思っていた。しかし田島はそんなの全く気にしている様子は微塵もなく、むしろ招かれた事に嬉々としていたのだが。
「そーか? ならいっけど」
 同じ練習量、疲れていないはずはないのにそんなものまるで見せない田島に、コイツはこういう奴なんだって分かっていても無意識に花井の頬が緩んだ。
「しっかし、いつ見ても飛鳥と遥は可愛いよなー!」
 二人の愛らしい笑顔を思い浮かべ、今度は田島の頬がぐにゃりと緩む。たった今まで緩んでいた花井の頬は、すぐに田島の言葉によって対照的にムッと歪みを成した。
「絶っ対に手ぇ出すなよ」
 これが兄としての威嚇なのか、はたまた恋人としての嫉妬なのかは花井本人も理解に苦しむ。
「出さねーって。オレには兄貴がいっからさ」
 花井を見てニ、と笑う田島に花井の頬が少し上がった。それでも照れ隠しからか「……それもどーよ」と視線を逸らしてから呟き、パーカーのポケットに両手を突っ込んだ。

 僅かな電灯の灯りが造り出す影を眺めながら、しばらく会話もなく花井と田島はただ向かい合っている。その静寂を突然破ったのは花井の視界を遮った田島の顔と、珍しくシリアスな田島の声。花井は驚いて目を丸くした。
「なぁ、スキって言って?」
「ハァ? ヤだよ」
 相変わらず素直じゃないなとは思いながらも、生真面目な花井には素の状態で甘い台詞なんて囁けない。即答で断るも、田島から返ってきたのはまさかの強気発言だった。
「今日オレの誕生日」
「ぐ、」
 一年に一度の誕生日をダシに使われては流石の花井も折れるしかない。素早く深いタメ息を吐き、揺れる瞳で田島の目を見つめる花井の顔は赤く染まりだした。
「……好きだよ」
「も一回」
 花井がやっとの思いで絞り出した台詞に間髪入れず田島が口を出した。
「おま、調子に―!」
「たんじょうび」
 決して笑わない真面目な田島の顔がじっと花井を見つめる。見つめ返すだけでその大きな漆黒の瞳に引き込まれてしまいそうになった。
「……くそっ、好きだよ」
「まだ」
「好きだ」
「足んない」
 何度言おうと満足しない田島との押し問答にも似たやり取りに、花井の気持ちが先に折れた。
 田島の冷たくなった腕を引き、ヒンヤリとした空気を纏う髪の毛ごと後頭部を掌で掴むとぐいっと自らの胸に引き寄せた。スッポリと収まる体をぎゅっと抱き締め、田島の冷たい耳に花井の温かな頬がそっと触れた。
「……アイシテルよ」
 ぎこちなく囁いた愛の言葉はどうにもしっくりこなくて、口にした瞬間から後悔が花井の頭を掠める。羞恥の限界から力尽きた花井が田島の肩に顔を埋めると、すかさず田島が花井の耳元で言った。
「それ、もっかい」
「ざけんな」
「ケチ」
 けれどそう言った田島の声はどこか嬉しそうで顔を見なくても分かる。満更でもない花井は田島を抱き締めながら、心の中で田島の生まれた日を祝った。


>生まれてきてくれて有難う。




1016、田島ハピバ!!
……ぐあぁ、書けてよかったっ!日付が変わるまで起きていられないので少しフライングです。
高2の設定で書きました。花井家で誕生日を祝われる田島は書けなかったけど。
ベタ甘って言いましたけど、これはベタ甘になってますかね(笑)

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プロフィール
HN:
蒼井
性別:
女性
自己紹介:
198X年5月9日(ヨーロッパ・デー)生まれ。
いつも何気ない顔で妄想してます。
☆今現在の萌
おお振り→花田、浜泉、阿三、田三
APH→仏英、英米、英日、米日
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