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「田島、野球はじ……まったね」
 プロ野球ニュースになったら教えてくれ、とベッドを占領していた田島が、花井の呼び掛けと同時に背後から顔を出す。花井の肩からゴリ、と鈍い音がしたのは田島の顎が乗っかったから。
 寝ぼけ眼でいながらも真剣にテレビに食い入る田島に、何だか力が抜けて文句を言う気すら起きなかった。
「何、また寝んの?」
 プロ野球ニュースが終わると、田島はすぐにまた花井に背を向ける格好で寝転んだ。
 んんー、と返事ともつかない半分寝ぼけているような甘い声に、肩先から鼻腔を擽る田島の残り香。
 つい手を伸ばし触れてしまったか細い背中は熱く、くらりと脳みそが振れてしまった花井は、舌打ちをしながらも田島の身体をキツく抱き締めた。




>JSB会議にて、田島はニュースはスポーツ部分しか見ない、という結論に達しました。

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 あっという間に水谷が一方的に悪い雰囲気になってしまったが、本当はそうでもない。水谷は田島の事をそんなによく知っていないのだから、こういう事態は容易に在りうる。言うならばタイミングが悪いというか何というか。
「つまりお前は、田島がもっとも気にしてる部分をつついたんだよ」
「田島は、花井先輩から4番を奪うのに必死こいてるトコロがありますからね」
 阿部の説明にさらに泉が乗っかる。言葉にしてしまえば何て事のない問題だったのだが。
 上級生から、ましてや主将から4番を狙っているなんてあまり口外するものではない。中学で4番を打っていた実績から、いずれ田島が4番バッターになるのだろうと誰もが漠然と思ってはいた。が、もうすでに田島が本気であるという事を知っているのは花井と阿部に泉を加え、ごく数人でしかない。
(まったく、お前のがスゲェっつーのに)
 苦笑めいた笑みで花井が視線をやると、ただしゃがみ込んでいただけと思っていた田島はもう頭を野球モードに切り替えていた。見つめる先はバッターボックスただ一点。その視線の先に見据えているもの、その姿、光景をできるならばすぐにでも見てみたいと、この眼を見るとつい思ってしまう。
「そうだったんだ。オレ……」
 すっかり意気消沈してしまっている水谷には悪いが、花井はもうそれどころではなくなってしまった。いつもなら出るフォローの言葉すら忘れるぐらい。
「田島」
 視線の先にいる、傍から見ればふて腐れているだけの一年生に花井は腰に手を当て、上から声をかける。
「今度の練習試合の4番賭けて、勝負すっか?」
「や、やるっ!!」
 花井の思ってもみない申し出に、田島は大きな目をキラキラさせて立ち上がった。
 上級生としてとか主将としての立場とか、周囲の目とか考えればキリがないけれど、田島の嬉しそうな顔を見たらそんなものは糞食らえだと思える。それに、花井だって負けるつもりは毛頭ない。
 花井は阿部に負けじと劣らないぐらいのニィ、とした笑みを浮かべた。
「ま、簡単には譲らねぇけどな。三橋ぃ!」
 栄口と一緒にマウンドの土を均していた三橋に、投げてくれるよう頼みに花井は田島をつれてその場を後にした。

「あーあ、世代交代にはまだはえーっつってんのによぉ」
 離れていく二人を見ながら、阿部は隣にいても聞き取りづらい声でぼやく。副主将、クラスメイトとして阿部は花井と一緒にいる事が多い故に、花井の気持ちが理解できてしまうようになっていた。かといって特に何をするでもないのが阿部らしいのだが。
「阿部く、ん!」
 眺めていたマウンドにグローブを持った三橋が戻り、彼なりの大声で阿部を呼んだ。
「おー、今行く!」
 とんだ茶番に付き合わされるもんだと思いながらも、ベンチに戻る阿部の頭の中は意地が悪いとしか思えない配球でいっぱいだった。

 花井と田島、阿部までいなくなったこの場でどうしていいのやら困った水谷は何を思ったか、対照的に全く動じていない泉に向き直る。
「……とりあえず、泉に謝っておいてもいい?」
「嫌っス」
 面白そうな茶番を泉が見逃すわけもなく、取り残された水谷に与えられた仕事は球拾いだった。




>先輩には従順そうな泉にもあしらわれる水谷にばんざい☆
水谷が可哀相なだけの話になってしまいました。そして、この花井と田島には恋愛感情がない方がしっくりくるかもです。
メモに上げましたが通常と変わらない感じで書いたので、そのうちまとめてきちんとUPしたいと思いまする。
 

拍手[1回]


 完全にそっぽを向いたままの田島に、今にも泣き出しそうな顔で上級生とは思えない醜態を恥ずかしげもなくさらす水谷。後輩も後輩なら先輩も先輩だな、水谷を見るとそう思わざる得ない。
「で? 原因は何なわけ?」
 二人から泉に視線を移し、花井はタメ息混じりに聞いた。主将としてこの場をまかされている以上、監督が来る前にサッサとこの問題を片付けてしまいたかった。
 いつまでもふて腐れている田島の肩を強引に抱き寄せ、泉は――コイツ、と田島の目の前でその顔を指差した。
「さっきまでオレとコイツがベンチで球磨いてたんスけど、しゃべりながらやってたら次第に声がでかくなっちまって。そこを水谷先輩に注意されたんスよ。手が止まってるって」
「水谷のくせにナマイキな」
「ちょっ」
 いつもいつも水谷にちょっかいを出す阿部も阿部だが、それにいちいち反応を返す水谷も水谷だ。阿部が面白がってやっている事にいい加減気付いて欲しい、と花井はまたタメ息を吐き出し、泉に続きを促した。
「……それで?」
「そいで、オレは冗談だってわかってたんスけど。そんなんじゃなかなか4番になれないぞ、とか何とか水谷先輩が田島に言って、」
「オレはぜってー花井先輩から4番を奪い取ってやんだ!」
 それまで大人しくしていた田島が突然泉の台詞を遮り、興奮したように拳を握り締めたかと思うと数回地団駄を踏んだ。
「……と、本気になって言い返したのがそもそもの発端っス」
 腕の中で暴れる田島を抑える気など毛頭ない泉は、自分が痛い目をみないうちに田島を適当に解放して帽子を被り直した。飼い主の手から解き放たれた田島は、行く当てもなくその場にしゃがみ込んでしまった。
「はぁ、なるほどね」
 一部始終を聞いただけで全てを理解した風な花井と阿部。
「ンならやっぱ水谷が悪ィんじゃねーの」
「ええっ、なんで!?」
 今度は至って真面目に言う阿部に、自分は余程の事をしたのかもしれないという不安が水谷に過ぎる。それは当たらずも遠からずと言ったところなのだが、当の本人には分からないでいた。




>次で終わります。
2年のトラブルメーカーは水谷で、1年は田島。田島は泉がストッパーだけど、水谷にはいないという。
あえて言うなら阿部……?


来月頭に実家が引越しをするので、昔自分が使っていた本棚を貰うことにしました。前々から悩んでいたんですが、一つ処分すると言うのでそれならば!と。これで陽の目を見ていない本達も出してあげられる!

私信>
神田さま
例のアレ届きました!あの田島を見た瞬間飛び上がったのは言うまでもないのです、うはうは。
こちらからもお返ししたいものがありますので、後日送らせていただきます^^有難うございました!


少しだけ12巻の感想……というか個人的にショックだったことを。
いちおうネタバレなんで隠しておきます。

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 新入部員の数が他の部活と比べると余り多い方とは言えない野球部。そのせいもあり、上級生となった今も花井は主将自らグラ整に精を出す日々。今日も阿部と三塁側の土を慣らしていると、その主である田島がトコトコと仏頂面を下げこちらへやって来た。
「花井せんぱーい」
「田島、どうした?」
 裏表のない彼が見せる表情は一学年下という事も相俟ってか、それが例え仏頂面であってもどこか可愛いと思えてしまう。バカなコほど可愛いとはよく言ったもんだ、と花井はトンボを休め田島の二の句を待った。
「あっちで水谷がオレのこといじめた!」
「はあ?」
 悔しそうに握った拳をブンブン振るう田島の背後には、慌てて駆け寄って来た水谷が息を切らせて田島の発言を否定し始める。
「ちょ待って、いじめてないよ! てかその前に先輩ってつけてってば!」
 田島の肩に手を置き、視線を寄越す水谷から田島は頬を膨らませて顔を背けた。下級生にそんな態度を取らせるなんて水谷はある意味すごい人物なのだろう。だから阿部はつい水谷をいじってしまう。
「なんだよ水谷、後輩イジメとかするタイプだったんだ?」
「ちがっ、だから誤解だってばぁ!」
 彼独特のニヤついた笑みに、水谷はもう勘弁してくれとばかりに声を上げる。手を焼く後輩に阿部まで加わったとなると、水谷の弁明など聞き入れてもらえない事はもう明らかだ。
「花井先輩、阿部先輩」
「泉」
 水谷が必死に田島を宥めようと四苦八苦していると、その後ろから今度は泉がやって来た。泉は田島とは馬が合うのか仲が良く、いつも田島と一緒にいる印象が強い。
「オレその場にいたんで。一応、水谷先輩の立場ってもンもあると思うんで説明しますよ」
 右手を顔の横で挙手し、泉は無表情のまま言う。
「あ、はあ……」
 田島に次いで水谷、泉とやって来て、気がつけばポンポンと進んでいった展開に全くついていけていない花井だった。




>きっと泉は先輩には表情なく淡々としている奴って思われているに違いない。

泉「上級生だからって愛想よくする必要は全くないね」

そんなお前が好きだっ!!

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 田島の目を真っ直ぐに見据え、今にも震えそうな手足にグッと力を込める。こんなにも緊張するのはバッターボックス以外でなかなかない。
 好きだと告げたはいいものの、その次に出てくる言葉が見つからず何度も生唾を飲み込むだけ。あわよくばこのまま田島の返事が聞きたかった。
「たじ、……えっ!?」
 促すように田島の名前を呼んでみようかという矢先、その田島の目から突然溢れ出した涙に花井はギョッとなって慌てふためいた。
「た、田島……?」
 隠す事もせず流れ出る涙もそのまま、男泣き状態の田島は多少しゃくりあげながら言う。
「まさか、花井に言われんの が、こんなにクるなんて……思わなかった」
「え。それってどういう……」
 嬉し涙なのか違う涙なのかイマイチ分からず、田島を抱き締める為に出した腕は宙ぶらりんのままだったけれど。
「こんな顔、じゃ、帰れねーよばかーっ」
 そう言ってギュウと花井の腰に抱きついてきた田島の肩を、花井はようやく恐る恐る抱いたのだった。




>田島は真顔でダバーと涙を流せばいい。

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プロフィール
HN:
蒼井
性別:
女性
自己紹介:
198X年5月9日(ヨーロッパ・デー)生まれ。
いつも何気ない顔で妄想してます。
☆今現在の萌
おお振り→花田、浜泉、阿三、田三
APH→仏英、英米、英日、米日
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